銀歯って何年もつの?

こんにちは!歯科医師の堀です。

よくこのこの手の質問を受けますので今回はこのネタにしてみました。まず前提として歯科では歯を治しましょう と言ってしまいますが。。。

本当に虫歯や歯周病は「治った」のでしょうか?

答えは    No    です。

怪我や病気は元の状態に「治り」ます。それは組織の再生によるものです。

残念ながら虫歯になった歯は再生することはなく、感染してバイキンの進行している歯の一部を除去することしかできません。(イメージは爪ですが爪のように伸びてきません、そして感染したところは取らない限り進んでしまうのです)

削ったままでは困ってしまいますので修復(銀歯やセラミック)することで元の機能を回復するのが歯科治療です。

そしてこの修復治療は人工物を用いて歯の機能を回復させますが、その耐久性は材料や治療技術で大きく左右されてしまいます。口の中はとても過酷な環境です。毎日60〜100キロかかると言われる噛む力を食事のたびに何百回と噛み合わせ、酸性からアルカリ性へ行ったり来たり、そして多くの細菌といった刺激などにさらされています。

例えば。。。海の潮風に晒されて、酸性雨を浴びつつけた放置車はどうなるでしょうか?10年後には錆だらけで乗れる状態ではなさそうな気がしませんか?そもそもきちんと検査して整備して乗っていても10年くらいたてば乗り換えを考えますよね。

残念ながら治したら一生保つ材料は存在しません。

疫学調査をした論文では

銀歯や被せ物、ブリッジといった保険の補綴物の平均使用年数はまとめるとおおよそ

「5年から10年」

だそうです。

これは再度の虫歯、歯周病、いろいろな理由でセットしてから治療が必要になった平均年数ですが、再治療できたものもあれば抜歯に至ったものもあるでしょう。

自費治療のものに関して同様の調査はみつかりませんでしたが、

これらの原因には 治療時間が限られることによる精度や技術的問題、材料の劣化(金属疲労や劣化、セメントの溶解など)、本人の口腔内環境の問題(磨けていないなど)、本人にはどうしようもない治療設計の限界(ブリッジなどは磨きにくい)

が考えられます。自費だから長持ちすると保証できるものではありませんが、保険治療ではどうしても限られてしまう 時間による精度や技術的問題、使用出来る材料等の限界がないこと、保険で使用できない材料による耐久性の差は大きいですので、セラミックといった見た目が白くできるというメリットだけではなく、目に見えない部分での大きな技術差によって平均使用年数を大きく伸ばすことができます。

どんなに高い治療でも一生もつ保証はできませんが、

歯は治療回数を重ねるたびに抜歯への道をまっしぐらです。

(2〜3回治療したら神経治療になる可能性が高く、さらに2〜3回も再治療すれば抜歯になる可能性はさらに高いでしょう。。。)

一度も治療しないことがベストですが、

治療した歯が長く使えるように まずは歯磨きを!

そしてできれば長持ちする材料で治療を!

最後は、修復した歯は本当に悪くなる前に再治療できるように定期的なチェックと健康な歯は虫歯にならない予防の徹底をしていきましょう!

 

(1)森田 学,石村 均,石川 昭ほか:歯科修復物の使用年数に関する疫学調査.,口腔衛生会誌 45: 788-793, 1995.
(2)青山 貴則, 相田 潤, 竹原 順次, 森田 学:臼歯部修復物の生存期間に関連する要因.,口腔衛生会誌 58(1): 16-24 2008.

 

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