こんにちは。歯科医師の生澤です。
早いもので藤本研修会エンドコースも全6回のうち5回目となりました。いつも勉強と交流と密度の濃い週末を過ごさせて頂いているので、土日はあっという間にすぎてしまいます。
外科的歯内療法(歯茎を開いて根の先の病気を顕微鏡を見ながら取り除く手術)と歯の中からの治療で通常の手法に加えてオプション的に処置が必要な場合の話でした。
講師の石井先生がいつも強調されるのは、”患者利益”という言葉です。歯科医師サイドの都合や考えではなく、根拠に基づいた選択肢を提示して、患者さん自ら選んで頂くことです。神経の治療が必要な歯について、成功率はどれくらいなのか。病気が治っても、歯として口の中でこれから使っていけるのか。歯はどのくらい長持ちするのか。コスト対効果は妥当か。などです。
初診でみえる患者さんにお話すると、皆さんそういうことはあまり聞いたことがない、色々なことを考えないといけないのですねーとおっしゃいます。患者さんの意識がかなり高くなった現在でも、自分で自分の歯の治療方法について決定するというのは容易なことではありません。
神経の治療は簡単にいうと、歯の中からする治療と外から手術する治療と2つあります。歯の中からする治療というのはなじみ深いと思いますが、歯の中からの治療がうまくいかなかった場合や望ましくない場合に外から手術する治療が必要になります。
手術が必要になるかどうかは、ある程度治療前に予測できます。そして下の5つのグループに分けられます。
1手術が必要になる可能性が低い
2手術が必要になる可能性が高い
3手術によって治る可能性が高い
4治療できるかやってみないとわからない
5治療できない(歯が折れているのが見えた場合など)
歯の中からの治療は根の中の形が残っているか否かで成功率が8−9割vs4割と異なりますが、顕微鏡を使った手術を行うと95%まで成功するというのがすごいところです。歯が割れていなければ、ここまでできるのは、一般の方はご存知ないと思います。そして、歯科医師すら分かっていない数字なのです。もっともこの成功率は、ばい菌のいない状態で厳密に治療したときのみ、専門医レベルの数字です。
ここまでくると、じゃあ治るのね、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、病気が治っても歯がどのくらいその後使えるかというほうが、むしろ今後のことを考えると重要です。
歯が治療後どのくらい長持ちするかは、①その歯の残っている量(何回も治療すると歯の厚みなどがなくなっていき割れやすくなります)②歯周病の重症度 ③神経の病気の重症度という3つの因子があり、残っている歯の量が一番影響するということがわかっています。
せっかく治療してもすぐ抜くような運命になるのは避けたいので、割れないように工夫して被せます。
今までご説明してきたようなことを、初診の患者様にもお話するのですが、皆様いかがでしょうか。なかなか理解するのも難しいですし、選択するのも難しいですよね。
こちらのホームページが分かりやすいとおもいますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。