2012年9月9日 フッ素セミナー
東京歯科大学 衛生学口座教室教授の眞木 吉信先生のフッ素セミナーを受講してきました。
フッ素には、むし歯の予防効果があります。
フッ素を利用してむし歯を予防する方法にはいくつかあり、歯科医院でフッ化物を歯面に塗布したり、フッ化物溶液で洗口したり、フッ化物配合の歯磨剤で歯磨きをしたりする方法などがあります。
どの方法もむし歯予防に効果があり、組み合わせることで、より予防効果は高まります。
ぜひ、フッ素についての知識を深め、むし歯を予防していただけたらと考えております。
フッ素とはなにか、どんな歯磨剤を、どんなふうに使用したらいいかなどについて、ぜひ参考にしてください。
むし歯の原因は・・・
できることならむし歯をつくりたくない、
むし歯で苦労したので子供にはむし歯になってほしくない。
そう思っておられる方は少なくないと思います。
ではその為にはどうしたらよいのでしょう。
むし歯予防に有効といわれる 「フッ素」 についてのお話です。
フッ素とはなんでしょう。
フッ素は生体必須微量元素です。
地中にも海水にも含まれている自然環境物質で、土壌1kg中に約230mg(230ppm)、海水1R中に約1.3mg(1.3ppm)含まれています。
地球上のすべての動物、植物にも含まれており、私たちが毎日飲む水や食べる海産物、肉、野菜、果物、お茶などほとんどの食品に微量ながら含まれています。
もちろんこれらを飲食するみなさんの歯や骨、あるいは血液中などにもフッ素は存在しています。
人間の体内には、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄に次いでその含有量が多く(13位)、体重50㎏の人であれば2gが体内に存在しています。(鉄は4g)
フッ化物のう蝕(むし歯)予防メカニズム
フッ素イオンの抗う蝕作用は、歯質 と 歯垢細菌 という2つの主なターゲットに対して効果を発揮します。
第一は、エナメル質や象牙質といった硬組織に対する作用で、
①ハイドロキシアパタイトの結晶性の改善が主であり、
②フルオロアパタイトの生成
③再石灰化の促進作用により歯質を強化し、耐酸性を向上させます。
つまり
歯のエナメル質は99%がリン酸カルシウムの結晶からなり、
ハイドロキシアパタイトと非常に良く似た構成をしています。
しかし、エナメル質アパタイトは結晶性が低いため、結晶の不完全な部分から
カルシウムが溶出したり、唾の中にあるカルシウムが取り込まれたりしています。
これが虫歯のなりやすさと関係しています。
フッ素が歯に取り込まれると、水酸基と置換してフルオロアパタイトになります。
フルオロアパタイトは結晶の不整な部分を修復し、ハイドロキシアパタイトよりも
水や酸に溶けにくい安定した結晶にします。これが虫歯予防につながります。
第二は、口腔内の環境因子に与える影響で、主に
①歯垢中細菌の解糖系に対する抗酵素作用により、
酸産生を抑制することであり、その他
②多糖体の合成阻害や
③抗菌作用があげられます。
日本のフッ化物配合歯磨剤のシェアと12歳児のDMFT指数
フッ化物配合歯磨剤の普及とともに、う蝕罹患率が低下していることがわかります
DMF指数 集団における永久歯列のう蝕罹患状態を知るために用いられる。
D(decayed tooth) 未処置う蝕歯
M(missing tooth; because of caries) 喪失歯(う蝕が原因で抜去された歯)、機能を喪失した高度のう蝕歯を含めることもある
F(filled tooth) う蝕が原因で処置された歯
DMF指数には、DMFT指数(Tはpermanent toothの略)とDMFS指数(Sはpermanent tooth-surfaceの略)があり、それぞれ集団の1人平均値を表す。次式より算出する。(ここでは前者のみ)
年齢によるフッ素の活用
身近な歯磨剤について紹介します
歯磨剤の効果的な使用方法について
年齢による使用量、濃度を参考にしてください
フッ化物配合歯磨剤を用いた効果的なブラッシング方法
① 年齢に応じた量の歯磨剤をつけます
② 歯磨剤を歯面全体に広げます
③ 2~3分間泡立ちを保つように磨きましょう
④ 歯磨剤を吐き出します
⑤ 10~15mlの水をお口に含んでください
⑥ 5秒間程度ぶくぶくうがいをします
⑦ うがいは一回だけにしましょう
⑧ 1~2時間は飲食を控えましょう
フッ化物配合歯磨剤を用いて、一日2~3回、口腔清掃を行うと、むし歯予防効果が高まります。
歯科医院での歯面塗布とあわせて、ご家庭でもむし歯を予防していきましょう。